【環境問題】農薬と化学肥料は世界をどう変えたのか!?〜その功罪について〜


突然ですが、皆さんは農薬や化学肥料についてどのようなイメージを持っていますか?「なんとなく良くなさそう…」というように、漠然とネガティブなイメージを持たれている人が多いのではないでしょうか。今回は、農業において農薬や化学肥料が使われるようになった経緯からその功罪、そして現代社会においてどうあるべきかについてご紹介していきます。


農薬と化学肥料の歴史

肥料はもともと、家畜の糞尿や腐葉土を用いた堆きゅう肥と呼ばれる、自然の恵みを使った肥料が用いられていました。日本においては、戦後1950年代以降から化学肥料の供給が増えていきました。堆きゅう肥を作るのに多くの時間が必要であったのに対して、化学肥料はその使いやすさから一気に普及しました。

農薬においては、稲作の代表的な害虫であるウンカの駆除が大きな課題でありました。化学農薬も化学肥料と同じく戦後に、防除を目的とした化学農薬が開発され、広く使われるようになりました。化学農薬の登場は、害虫による被害を抑え、生産効率が圧倒的に向上しました。


これらのメリット

以上のように農薬や化学肥料の登場によって、以前とは比較にならないほど効率よく作物を育てることが可能になりました。そして、農業における大量生産を行えるようになりました。その結果、飢餓で苦しんでいる人が大幅に減ったり、世界の人口の大幅な増加(人口爆発)に貢献しました。


これらのデメリット

しかし、これらを使用することには悪い側面ももたらしています。化学肥料を用いた生産性を過度に高める方法は、その原料である石油を大量に消費しています。また、自然の恵みを用いた堆きゅう肥を使用すると、その土地内での自然循環が可能となり、地域資源を活用した多様な方法で地力の維持が可能でした。しかし、化学肥料は外部からの購入に頼ることとなり、循環を実現することはできません。農薬においては、生態系の撹乱や人体への影響などが指摘されています。以上のことから、農薬や化学肥料の登場などによって、農業生産における環境負荷の増大、大量のエネルギーを消費するモデルになってしまいました。


これからどうするべきなのか?

前章では、農薬や化学肥料を過剰に使うことを前提とした現代農業の問題点をみてきました。しかし、現代ではこれらの問題の指摘を踏まえ、環境や人体への影響が比較的少ないものが使用されています。また、繰り返しにはなりますが、誰も環境破壊を行おうとこれらを使用しているわけではありません。そして、これらは農作業を楽にしたり、飢餓の減少にも繋がりました。そこで、私たちが今行うべきなのは、現在の新たに目指すべき社会の姿を考え、新たに残された問題の解決に取り組んでいくことではないでしょうか。

 

エコビレッジをヒントに!

私たちがこの問題を考える上で、エコビレッジでおくられているような「農的な暮らし」(「農的な暮らし」についてはこちらの記事をご覧ください)の考えに立ち戻ることは非常に大きな手がかりになります。自分と周りとの繋がりや自然の循環を大切にする姿勢は、現代社会に暮らす我々も意識する必要があります。

 

いかがでしたでしょうか?以上のように、農薬や化学肥料は良い面でも悪い面でも社会を大きく一変させるだけの力があります。どちらの面も見つめ直しながら、新しい社会のあるべき姿を一緒に考えていきましょう!その考えるヒントに、エコビレッジやEARTH MINDがなれれば幸いです。



※参考文献

龍谷大学農学部食料農業システム学科編,食・農・環境の新時代,,昭和堂,2016年


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